ばら

薔薇の香りを好きになれたのは大人になってから。
生花の薔薇の狂おしいほど甘い匂いを嗅いだ子供は、そのあと花が苦手でたまらなかった。
見るのはいいけど、嗅ぐのはねと避けていた。
大人になってからある日、久しぶりに花を描きたくなった。描くなら本物を見て描けという教えを思い出して、何年かぶりに生花を家に飾った。
空気の流れに乗った花の香りを何年かぶりに嗅いだとき、なんていい匂いだろうと思った。

サンタ・マリア・ノヴェッラ
ローザ

イタリアはフィレンツェのブランド。
「柑橘系の入ってないフローラルノートはどれですか?」とたずね、いくつか紹介してもらったなかで、いちばん心地よかった匂い。
開いた薔薇に顔を近づけた時のような幸福感があった。
わたしの肌に乗せると、途端にそれは甘く瑞々しい、茎をうんと伸ばして花びらを開けた薔薇の香りへと変化。

憂鬱な日の支度のとき、お風呂に入る前、ミニスプレーに移したローザを胸元につけている。
特別なかおり。